あ はっぴぃ にゅう いやぁ

〜スカサハの支度風景〜

「既に目星は付けてあります。」
前もって知っており、手配をするのに一役買っただけに、ユリアはスカサハの支度について既に構成を考えているようだった。
「これと、これ。それから、これも有力候補です。」
ユリアはてきぱきと衣装ハンガーから服を外すと、次々とスカサハに抱えさせた。更に、靴の箱を服の山の上に乗せ、その上に付け毛を乗せる。
「アクセサリーは…この辺りがいいでしょう。」
いくつかのアクセサリーを抜き出すと、ユリアはスカサハを従えて支度部屋へ向った。

支度部屋を仕切るカーテンの奥でユリアの選んでくれた服をあれこれ試着したスカサハは、一番着心地の良かった服を着てユリアの前に姿を現わした。
「どう…かな?」
「よくお似合いですわ。」
似合ってもあまり嬉しくないけど、ユリアが嬉しそうだからいいか、と思いながらスカサハは鏡の前に座った。
「極薄く、お化粧させていただきますね。」
「うん、よろしく。」
スカサハは言われるがままに大人しく目を瞑った。
顔の上をそっと撫でていく刷毛やスポンジの感触がくすぐったかったが、必死に我慢した。
目を瞑っても、ユリアが気遣いながら慣れない手付きで一生懸命メイクを施して行く動きが手に取るように感じられる。慣れないながらも手際がいいのは、きっとこの為に練習したんだろう。今のユリアは綺麗に薄化粧しているが、多分それは専用の女官がやっているはずだ。恐らく、彼女の技を見よう見まねでこっそり練習したか、この為だけに教えて貰ったと思われる。
そう思うと、こんな企画に参加させられるのも悪くはないか、と思えてくるスカサハだった。
「終わりました。」
「あ、ありがとう。」
言われて目を開けると、鏡の中にはたおやかな少女のような雰囲気のスカサハの顔が映っていた。
「これ、付けて下さい。」
スカサハが差し出された黒髪の付け毛を付けると、ユリアはスカサハの自毛を馴染ませるようにブラシをかけ、それからゆったりと纏めてリボンを結んだ。
「これ、被って下さい。」
差し出されたのはシンプルなつば広の帽子だった。
「これを少し目深に被って行って、壇上で脱ぎながらそっと微笑んで下さい。」
試しにちょっとやってみるように言われ、スカサハは「こんな感じ?」と試してみた。
「いえ、もう少しはにかんだように…。」
何度か試してやっとOKをもらったスカサハだったが、心の中では、そうまで必死に優勝したいなんて思わないんだけどユリアが楽しそうだからいいか、などと考えていた。

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