あ はっぴぃ にゅう いやぁ
〜アーサーの支度風景〜
「やっぱり、ミニスカートかなぁ。」
フィーは、衣装ハンガーからいくつかの服を選んで手に取った。
それに合わせて靴やアクセサリーもいろいろ持って、フィーはアーサーの待つ支度部屋へ向った。
「アーサー、これ試着して見て。」
「試着って…これ、随分と布が少なくないか?」
フィーが持って来た服は、ワンピースにしてもアンサンブルにしても、全てスカート丈や袖が短く、布地の少ない物だらけだった。
「そうかなぁ。でも、あんたの普段着と変わらないと思うけど…。」
「ま、いっか。貸せよ、着てみるから。」
アーサーはフィーから服の山を受け取ると、部屋の中を仕切っているカーテンの陰に入って行った。
しばらくして、アーサーは着替えたままで出て来た。
「これ、結構いいと思わないか?」
「うん。良い感じ♪」
かなり乗り気になってるアーサーは、カーテンの陰から完全に出てくると、フィーの前でクルクルと回ってみせた。
「髪型どうしようか?」
そのままのサラサラのロングヘアでも良いが、髪飾りをつけるとか結わくと普段とイメージが変わって良いかも知れない。何しろ、今のままでは今イチ新鮮味に欠ける。
「俺さぁ、ポニーテールってのやってみたいな。」
「…いいけど、どうして?」
更に乗り気になってるのに水を差す気はないが、どうしてまたそう具体的に髪型を指定するのか、フィーは聞かずにはいられなかった。
「母さんが、そんな髪型だったんだ。」
「そっかぁ。それじゃ、やってみますか。」
疑問が解消されて気持ちよくアーサーの髪を結い上げようとしたフィーだったが、癖もなくサラサラでそれでいて結構コシのあるアーサーの髪は、なかなか上手くまとまらなかった。
「ああっ、もう。何で、スルスル逃げるのよぉ!」
「フィーが不器用なだけだろ。へたくそ。」
「むか〜! だったら自分でやんなさいよ!!」
フィーに投げ付けられたブラシを手に、アーサーは悪戦苦闘して自分の髪を結い上げた。そのままフィーがふて腐れてしまったので、恐る恐る化粧品に手を伸ばし自力で化粧しようとしたが、中身を見て硬直した。
「フィー、謝るからサポートしてくれ。」
「あら、随分と素直ね。いいわよ、何?」
機嫌を直したフィーが振り向くと、アーサーはメイクボックスを持って固まっていた。
「これ、どうやって使うんだ?」
フィーは、公爵夫人となってから覚えたナチュラルメイクの技術でアーサーに化粧をしてやった。