あとがき(という名の言い訳)
こんなところまで読んでいただいて、どうもありがとうございます。
ひさしぶりのシリアスネタです。
以前、某所で予告するだけしておきながら、書き上げるまでにかなりかかってしまいました。大変お待たせ致しました。お約束の記憶喪失ネタです。(さて、LUNAは誰に挨拶してるんでしょう?覚えていていただけたのかしら? ^^;)
久しぶりにゲーム世界の設定で書いた割には、あまり設定が活かされてませんね(- -;)
基本的に、日常の中の非日常みたいな出来事です。
記憶喪失に関する描写も、いろいろ文句つけたくなる方もいらっしゃるかと思いますが、記憶喪失ネタと言いつつラケシスの場合は記憶障害ですから。外部から与えられたショックが原因で記憶を失ったわけではなく、自分の意思で記憶を封じてしまったんです。だから、都合の良いことだけ思い出したり、封印のほころびから記憶がこぼれたりしています。
誰だって、年がら年中辛い記憶を揺り起こしていたら、精神的にまいってしまいます。だから、必死に記憶の奥底へ封じ込めようとしたり、時には別の記憶にすり替えたりして自己防衛に走ることなんて珍しいことではないでしょう?
そして死にかけたそのぎりぎりの状態の中で強く自分の意識に働きかけてかけられた自己暗示の威力は、普段の「考えないようにしようっと」って押し込めるのとは訳が違います。
そんな中でエルトシャンが一番思い出されやすかったのは作中にある通り死んだはずの人間が現われるというショックで封印が綻んだこともさることながら、兄と無邪気に過ごしていた頃の幸せの記憶が他の記憶を封印するのに使われていたからです。一番幸せだった記憶、心底幸福を感じた時の想い出には得てして辛い記憶もついて回ります。しかし、無邪気に幸せだと思っていた頃の記憶というのはそれ単体で存在しているので、辛さから逃げ出そうとした時にふと帰りたくなる場所や時をもって辛い記憶に蓋をすることは、表向き負荷を軽くしてくれます。
本当に忘れてしまうのではなく、思い出すことを拒絶するというのが、今回のラケシスの記憶障害の正体でした。思い出しかけると、「思い出してはいけない」「考えてはいけない」ってストッパーがかかるんです。無意識の中から閾域まで上がってきた記憶を、意識が受け取ることを拒否してしまうんです。
けれど、それだけにその記憶はラケシスにとって重要なものでした。だから、意識を手放している時間の中で一気に表層に上って毎晩うなされたんです。
ずっと心の中で思い悩んでいて、フィンに謝りたくって…。
でも、フィンはその意味に気付きませんでした。必死に謝るラケシスに「謝るな」「気にするな」って言い続けた彼の優しさは、ラケシスにとっては救いどころか重荷になってしまいました。
そこで、久しぶりにリーフ様においしい役どころを担っていただく運びとなったわけです。
彼って、ナンナ絡みじゃない時はなかなかのものなんですよ。何しろ、LUNAにとっては子世代セカンドダーリンですもの(^^)
フィンの話を聞いて、実に見事なアドバイスをしてくれました。「許す」と言ってやれ、というのは、ラケシスの謝罪を認めてやれと言うことです。だってラケシスから見れば、一生懸命謝ってるのにちっとも聞いてくれなくて、その行為を否定されてるんですよ。
リーフ様のおかげで、一番言いたかったことを伝えられたラケシスは、フィンが「許す」って言ってくれたことでやっと自分を許すことが出来たんですね。そして今度は自らに架した強力な自己暗示と戦って封印を解き、記憶を取り戻すことが出来たわけです。
こういう精神面への考え方ってLUNAの自説だから、今回の設定ってかなり分かりにくかったかも知れませんね。って、今頃言っても仕方ありませんが…。既に本編終わってるし、この路線で学都シリーズのユリウス描いてるし(^^;)q
ちなみに、タイトルはLUNAの好きなTWO-MIXの曲からいただきました。今回の話にぴったりの歌詞です。
それでは、ここまでお付き合い下さって本当にありがとうございました。